こんにちは。10月の列車です。
神奈川県の京浜工業地帯を走るちょっとマニアックな路線「鶴見線」と、南武線の支線である「南武支線」に乗ったことのある方はどれくらいいらっしゃるでしょうか? 沿線の工場へ勤務している従業員の方や、沿線の工場の貨物を運ぶ路線なのですが、最近では海に近い駅として「海芝浦駅」が有名だったりしますよね。
そんな鶴見線、確か行き止まりの路線じゃなかったっけ? このブログで取り上げるということは、大回り乗車で乗れるの? それってルール違反になっちゃうんじゃないの? そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃることと思います。
でも実は、鶴見線と南武支線は、電車の行き先に気をつけて組み合わせることで、大回り乗車でも乗車可能な路線なんです!この記事では、鶴見線と南武支線はどんな路線か、どのようにすれば大回り乗車で乗れるのか、そういったことを解説していきたいと思います。もし乗り間違えたり、ICカードタッチを間違えたりしてしまうと、大回り乗車不成立となってしまう恐れもあるので、ぜひ最後までお読みくださいね。
鶴見線・南武支線はこんな路線
鶴見線・南武支線の紹介
鶴見線は、神奈川県横浜市の京浜東北線鶴見駅から出発し、海沿いの京浜工業地帯へ向けて走っていく路線です。といっても一本線の路線ではなく、2つの分岐線があり、扇町駅へ向かう本線格の路線、浅野駅から分かれて海芝浦駅へ向かう路線、安善駅から分かれて大川駅へ向かう路線もあります。工業地帯の通勤客輸送が中心という性格もあり、全体的に本数は少なめで、昼間は1時間に2~3本、海芝浦駅へ向かう分岐線はもっと本数が少なくなっています。大川駅への分岐線に至っては、1日数本というレベルです。
南武支線は、南武線の本線である尻手(しって)駅から分岐し、鶴見線の浜川崎駅に至る路線です。南武支線という言い方は通称で、川崎駅と立川駅を走る南武線の分岐線という扱いです。地元では「浜川崎線」とも呼ばれていると聞いたことがあります。こちらも本数は少なく、本数は昼間は40分ほど電車の間隔が空きます。数年前に「小田栄(おださかえ)」という新しい駅ができました。
鶴見線ではこんな景色が見られる
鶴見線は京浜工業地帯の従業員を運ぶ路線であり、また別のルートで工場につながる線路からの貨物列車も走っています。そのため、たくさんの線路群に貨車がとまっているような光景を見ることができます。
海沿いに工場や倉庫があるため、このような景色も眺めることができます。
弁天橋駅近くには鶴見線・南武支線用の車両を収容する車庫があるため、このように電車が停まっている光景を見ることができます。
鶴見線の車両 E131系1000番台
鶴見線を走っているのは、E131系1000番台というピカピカの新型車両です。昔からの鶴見線伝統の3両編成を組んでいます。また、2024年から始まったワンマン運転に対応した仕様になっています。ほかの路線のE131系とは異なり、ワイドボディではないスリムボディな車体が特徴です。
なお、正面に貫通扉があるように見えますが、実はダミーで開けることは出来ないそうですよ(笑
正面の窓下にはE131系のトレードマークである水玉模様がありますが、鶴見線伝統の黄色と、昔大川支線で平成まで活躍したクモハ12形の茶色をイメージしているのでしょうか?
鶴見線はE131系になった2024年ダイヤ改正から、ワンマン運転を始めました。車内での運賃精算はせず、駅のSuica改札機にタッチするスタイルです。
ワンマン運転に備えて、側面監視用のカメラも取り付けられています。
南武支線の車両 E127系0番台
南武支線で走っているのは、2両編成のE127系0番台という車両です。新潟県に行ったことのある方なら、この車両どこかで見たよな……? と思ったかも。その勘、正解です。実はこの車両、以前は新潟県内の在来線……信越本線、越後線、白新線、羽越本線などで走っていた車両なのです。鉄道車両界では大都市圏から他地域へ車両が回されるのが通例ですが、この車両はその逆をいった希少な車両なんですよ!
ちなみにこの車両は2本しかないため、車両検査やトラブル時は以前の205系車両が走ることがあります。
新潟時代の緑の濃淡ラインから、南武支線の黄色と緑のラインに張り替えられています。行先表示はなんといまどき珍しい、幕式です!なお、南武支線は昔からワンマン運転をしています。
ちなみに、新潟県内路線を走っていた頃は車内トイレが使えましたが、南武支線では閉鎖されて「業務用室」とされているので、トイレは使えませんのでご注意下さい。だって片道10分程度ですから、不要ですよね?
鶴見駅の中間改札は無くなった
以前、数年以上前に鶴見線に乗ったことのある方なら「鶴見駅で京浜東北線と鶴見線を乗り換えるとき、中間改札があったよなぁ」ということを覚えている方もいることでしょう。じつはこの中間改札、今は無くなっており、そのまま乗り換えることができます。
鶴見線の駅は多くが無人駅であり、以前は無人駅から定期券以外で乗った乗客のきっぷの精算をするためにここで中間改札を設けていたのだと思いますが、Suicaが普及して多く利用されるようになったため、不要と判断されたのでしょうね。
大回り乗車で乗る場合の注意事項
行き止まり駅に行ってはいけない
先ほど、鶴見線には扇町へ向かう本線のほかに、海芝浦や大川へ向かう分岐線があると書きました。ここで大回り乗車のルールを今一度思い出してほしいのですが、「同じ駅・ルートを2回通ってはいけない」というのがありますよね。以下の記事もご覧下さい。
海芝浦・大川といった分岐線の行き止まり駅に行ってしまうと、同じ駅やルートを2回通りことになり、不正乗車になってしまいます。以下の図のように、グレーになっているところは大回り乗車で乗ることはできません。ピンク色の矢印のように、鶴見から鶴見線で浜川崎、そこから南武支線で尻手(もしくはその逆)というルートで乗るように注意しましょう。
鶴見駅からの鶴見線は、扇町行き、浜川崎行き、武蔵白石行き、大川行き、海芝浦行き、弁天橋行きと、けっこう様々な行き先があります。鶴見駅から乗っていいのは、扇町行きと浜川崎行きです。行先表示が赤で示されているので、目印にしましょう。
なお、弁天橋行きや武蔵白石行きに乗って途中駅のホームに降りるのなら、大回りルートから外れないから問題ないんじゃない?と思う方もいるかもしれませんが、それはおすすめしません。鶴見線の駅は鶴見駅以外ほぼ無人駅であり、浜川崎駅以外で、乗り換え以外の目的で電車から降りる=下車と認識されてしまうかもしれないからです。難しい所ですが、改札もないような駅が多いため、誤解を招く行動は防いだほうがいいと思われます。
途中交差するルート、乗っても大丈夫?
大回り乗車の計画を立てている方には、以下のようなルートを考えた方もいるかもしれません。京浜東北線で品川方面から鶴見駅まで来て、鶴見線と南武支線に乗車し、尻手駅から南武線で立川方面へ抜ける。でもこれ、路線図で見ると京浜東北線と南武支線が交差してしまっているよね?「同じルートを2度通らない」のルールに違反してしまうのでは? と不安になる方もいるかもしれません。
でもこれ、実はOKなんです!
京浜東北線と南武支線の交差地点には、駅がありません。なのでその場合は別のルート扱いになるのです。もしこの交差する地点に駅があって乗り換えが可能な場合は、同じ駅を2度通ることになるのでルール違反となるのです。ちょっと面白いですね。
浜川崎駅での乗り換えルートと注意
大回り乗車中、浜川崎駅で鶴見線と南武支線を乗り継ぐことになりますが、ここで注意点がいくつかあります。浜川崎駅は鶴見線と南武支線が道路を挟んで別の駅になっているため、いったん道路に出て20秒ほど歩く必要があるのです。大回り乗車では途中で駅から出てはいけないのがルールですが、この浜川崎駅については例外です。
またその際、浜川崎に置いてある簡易Suica改札機に、SuicaなどのICカード乗車券をタッチしてはいけません。そこで降車するとみなされ、運賃が差し引かれてしまうからです。注意しましょう。
それでは浜川崎駅の鶴見線ホームから、南武支線ホームへと乗り換えてみましょう。写真付きで説明します。
まず、ホームの扇町寄りにある階段をのぼります。
ここを左へ曲がります。「出場」とある簡易Suica改札機はこの駅で降りる(街中や工場へ出る)人専用です。大回り乗車などで南武支線へ乗り換えの場合はタッチしてはいけません。また、右側のJFE専用出口は従業員や関係者の方専用なので、一般乗客は行ってはいけません。
階段を降りて道路に出ます。車に気をつけて、右方向へ行きましょう。
右方向へ20秒ほど(個人差はありますが)歩くと、すぐ南武支線の浜川崎駅があります。
こちらが南武支線の浜川崎駅です。鶴見線側と同じく無人駅です。
駅舎を入りそのまま進むと、南武支線ののりばになります。大回り乗車中などで鶴見線から乗り換えて来た場合は、「入場」とある簡易Suica改札機にタッチしてはいけません。そのまま電車に乗りましょう。お疲れ様でした!
まとめ:行き先に気を付けて工業地帯を体感しよう
いかがだったでしょうか。
鶴見線・南武支線は工業地帯を走る路線であり、工場や倉庫の風景が楽しめる。しかし本数が少なく分岐線へ向かう電車もあるため、電車の行き先や時刻には注意しなければならない。京浜東北線と南武支線の交差地点には駅が無いため、ルート上線が重なっていても問題がない。浜川崎駅は道路を挟んで別の駅であるため、乗り換えのときはいったん道路に出る必要がある。そういったことがお分かりいただけたかと思います。
ぜひ、大回り乗車で品川と横浜の間を通る際などには、鶴見線や南武支線に乗って、一味違う車窓や電車を味わってみて下さいね。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。