大回り乗車はキセルじゃない!キセル乗車と大回り乗車の違いを解説

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こんにちは。10月の列車です。

先日、Twitterでこんなハッシュタグが流行っているよ!と私の妻が教えてくれました。それが、「#大回り乗車はキセルと同じ」「#大回り乗車はキセルじゃない」という2つのもので、それぞれ大回り乗車の否定派と賛成派の人たちが使っていて、Twitter上で論争が起こっている様子でした。そこに私も、参戦とまではいきませんが、「#大回り乗車はキセルじゃない」のタグを使って、大回り乗車は不正ではないことをちょっと主張させていただきました。

しかし「#大回り乗車はキセルと同じ」のタグを使っている人たちは、「キセル乗車」ってどんな乗り方のことだか正しく理解しているのだろうか?と思ったのです。不正乗車=キセル乗車 と思っている人も多そうですが、実はそうとも限りません。

この記事では、そもそもキセル乗車とは何なのか、大回り乗車はキセル乗車ではないと何故言えるのか、そういったことを詳しく解説していきたいと思います。大回り乗車否定派の方も賛成派の方も、ぜひご一読下されば幸いです。

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キセル乗車と大回り乗車の違い

キセル乗車の「キセル」ってなに?

もしかすると「キセル乗車」の語源になった「キセル」というものを知らない、見たことすらないという人は多いことと思います。「キセル」とは、下の写真のような道具なんですよ。

「キセル(煙管)」とは、昔のたばこの事です。写真でいうと右側の上を向いている部分に煙草の葉っぱを入れ、そこにマッチで火をつけて、左側の吸い口からそれを吸うというものなんです。

今では、葉っぱとフィルターが既にセットされている紙巻たばこがすっかり主流となり、キセルを使ってたばこを吸っている人は優雅というか、見たら本当にラッキーという感じですね!私の友人にもたばこを吸っている人はいますが、さすがにキセルは使っていないようです(笑

では「キセル乗車」とは何か

もう一度、キセルの写真をよく見てみて下さい。

キセルの真ん中の部分は木でできていて、両端の部分は金属でできていることがわかりますね。

このように「両端にだけ金属を使っているキセル」を由来にして「旅行のスタート駅とゴール駅の付近にだけお金を使う=きっぷを買う」「真ん中の部分は金属を使わない=きっぷを買わない」という風に、両端の区間にだけしか運賃を払わないことを「キセル乗車」というんです。

昔は自動改札機がなかったので、たとえばこんなキセル乗車が可能でした。

たとえば東京駅~横浜駅間の定期券を持っていて、茅ヶ崎駅から東京駅まで行きたい。こんなとき、茅ヶ崎駅から横浜駅までのきっぷを買うのが正しいのですが、そこを茅ヶ崎駅から隣の辻堂駅までしかきっぷを買わない。茅ヶ崎駅ではきっぷにはさみを入れてもらい、辻堂駅から横浜駅まではタダ乗り。そして東京駅では涼しい顔で定期券を見せて出場するというものです。

現在は、どの鉄道会社でも自動改札機が導入されたので、乗車時に自動改札機を通っていないきっぷ・定期券は自動改札機で止められますので、上のようなキセル乗車は出来ません。不正乗車は犯罪になるので、決してやらないでくださいね。

大回り乗車がキセル乗車ではない理由

では、大回り乗車はなぜ、キセル乗車ではないのか、についてです。

大回り乗車は、JRの大都市近郊区間の中で、スタート駅からゴール駅まで同じ駅・区間を2回以上通らずに大きく迂回して乗車する場合、便宜上どのルートで乗っても最短経路で運賃を計算するというものです。大回り乗車の定義については、こちらの記事もご覧ください。

キセル乗車には「この駅からこの駅まではきっぷを買って運賃を払っているが、この駅からこの駅までは払っていない」という、境目が存在します。

大回り乗車には、そのような境目がありません。

たとえそれが安価な最短経路運賃だったとしても、乗車する全ての区間に対して運賃を払っていることになります。境目が存在しない以上、大回り乗車をキセル乗車と言うことは出来ません。なので「#大回り乗車はキセルと同じ」というタグは、ちょっと苦しい弁明であることが分かります。

それでもなぜ、大回り乗車が批判されるのか

さて、大回り乗車は全区間に運賃を払っていることは分かりましたが、それでも大回り乗車を批判してくる人は後を絶ちません。

最大の根拠はやはり、いくら改札を出ないとはいえ、遠くまで行くのに安価な運賃しか払わないのはずるい!というものではないでしょうか。大都市近郊区間の制度も、たとえば山手線の内回りと外回りを間違えても同じ運賃で済むようにと、駅員さんの運賃計算の負担を減らすための制度であり、1日中旅行するために作られた制度ではないからです。改札を出ないことで、鉄道会社のみならず旅行先にもお金が落ちないから経済的にも貢献していない!という声もありそうですね。

でも私は、そんなことはないと思うのです。

たとえば、大回り乗車中にどうしてもお腹は空くし、のども渇きますよね。駅によっては駅弁を売っている駅もありますし、駅ナカのレストランもあります。駅弁はたいてい地元の業者さんが製造しているので、購入すれば地元の業者さんにお金が落ちます。駅ナカのコンビニでお土産も売っている場合も多くあります。これらを購入すれば、改札を出なくても地元の業者にお金が落ちますね。今は便利な時代なので、改札を出なくてもお金を使う機会はいくらでもあります。

運賃を安く抑えた分、お土産や駅弁などにお金を使えば、喜ぶ人が必ずいます

大回り乗車中にお金を使うには

大回り乗車中に、改札内でどうやってJRさんや地元業者さんにお金を落とすか?方法はいくらでもあります。

当ブログには「乗り換え駅の食料事情」というカテゴリーがあります。大回り乗車中に多くの人が利用するであろう主要な乗り換え駅の駅ナカに、どんなお店があるかを駅ごとに紹介しています。ぜひ、参考にしてください。

乗換え駅の食料事情
高崎駅や千葉駅など、大回り乗車でよく利用される乗り換え駅の改札内で、主に食べ物に関してどんなお店があるか、駅ごとに調査してみました。駅によっては駅弁屋さん情報もあります!

また、鉄道会社に運賃以外の形でお金を落とすには、特急列車やグリーン車に乗車するという手があります。「特急・グリーン車の乗り方」カテゴリーをぜひ参考にしてください。

特急・グリーン車の乗り方
大回り乗車で利用できる普通列車グリーン車や、在来線特急の紹介、グリーン券や特急券の買い方・料金などの情報の記事を集めました。少しリッチな旅を楽しんでみて下さい。

大回り乗車は確かに安い運賃しか払っていません。でも、お金の使い方は運賃以外にもいろいろな手段があります。低運賃で浮いたお金を、別な手段で適切に使っていけば、決して大回り乗車はズルい行為ではないと私は考えています。

「乗らせて頂いている」という意識を持とう

さて、ここまではどちらかというと大回り乗車否定派の皆さんを説得するような気持ちで書いてきましたが、ここからは大回り乗車賛成派の皆さんに向けて書きたいと思います。

大回り乗車は確かに、制度に則った間違いではない乗車方法のひとつではあります。でも、大都市近郊区間の制度は先ほども書きましたが、駅員さんの運賃計算をラクにするための制度であって、決して安価に旅行するために作られた制度ではありません。

言い方は悪いですが、制度のスキを突いた行為であるという気もしなくもありません。でもJRさんや、多くの駅員さんは容認して下さっています。

私たち「大回り乗車賛成派」は、JRさんや駅員さんが容認して下さっていることをありがたく受け止め、感謝の気持ちをもって大回り乗車をするべきではないでしょうか。八高線や両毛線、水戸線などといった、大回り乗車に活用できる行き止まりではないローカル線を維持して下さっていることにも感謝して乗車するのがいいと思います。

車内が混んで来たら荷物をどかして定員着席に協力するとか、お年寄りや身障者の方に席を譲るとか、車内飲食は程々にするとか、そういった周りの方への基本的なマナーは忘れずに行きましょう

「違法ではないんだから俺は間違ってない!」とふんぞり返るのではなく、「お安い運賃で特別に乗らせて頂いている」という気持ちを忘れなければ、みんながハッピーになる気がします。

まとめ:大回り乗車は違法ではない、でも感謝しよう

いかがだったでしょうか。

大回り乗車は確かにキセル乗車ではないし違法ではない、実際の制度に則った乗り方のひとつですから、心の中で胸を張って乗車していいのです。でも、本来ならそれなりの運賃がかかる遠くの駅を、特別に安価な運賃で通らせて頂いていることでもあるわけですから、感謝の気持ちをもって旅に出ましょう。払う運賃は安くても「良質な客」でありたいものです。

大回り乗車をやったことのない方は「初めての大回り乗車」カテゴリーをぜひ参考にしてください。

初めての大回り乗車
初めて大回り乗車をやってみたい!という、大回り乗車ビギナーの方に向けて役立つ情報の記事を集めました。初めての方はひととおり読んで頂けると幸いです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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