こんにちは。10月の列車です。
2022年12月、ことし2023年3月18日に行われるダイヤ改正の概要が、鉄道会社各社から発表になりました。JR東日本さんも例外ではなく、各支社のプレスリリースを見るとどんな変化があるのか、詳しく知ることができます。その中には、増発になる列車だけではなく、本数削減や、あるいは消滅してしまう列車もいくつか含まれています。
当ブログとして注目したい消滅列車は、高崎線特急「草津」と「スワローあかぎ」、そして東海道本線快速「アクティー」です。
それぞれの3列車について、各列車はどのような列車なのか、各列車が消滅後、ダイヤ改正後はどうなるのか。大回り乗車でも乗車可能か、また、定期特急列車の運用から引退となる651系特急電車についても簡単に紹介したものが、この記事になります。ぜひ、ダイヤ改正前の乗り納めの参考にしてくださいね。
【お知らせ】現在、2023年3月17日を過ぎましたので、この記事で取り上げた各列車…651系特急電車や快速アクティーはすでに運転を終了しています。この記事の内容はすでに過去のものとなっていますので、ご注意下さい。現在走っている高崎線特急「草津・四万」については以下の記事をご覧下さい。
高崎線特急「草津」「スワローあかぎ」
まず、高崎線特急の変化についてです。JR東日本高崎支社さんが発表した、ダイヤ改正プレスリリースを見てみましょう。
20221216_ta01.pdf (jreast.co.jp)
このプレスリリースを読むと、以下のことがわかってきます。
特急「草津」は「草津・四万」に変わる
群馬県の草津温泉にお出かけする観光客向けに、上野~長野原草津口間で運転されている「特急草津」。この列車の「草津」という愛称は消滅しますが、列車自体はダイヤ改正後も引き続き運転されます。
では、新しい愛称は何か?それは「草津・四万」です!くさつ・よんまんだなんて、何かカッコいいなぁ!強そう!西武鉄道40000系で運転なのかな?
…ごめんなさい、ボケました(笑) 「草津・四万」←これは「くさつ・しま」と読むんです。では「四万(しま)」って何のことだろう?
それは、草津温泉と同じく群馬県に存在する温泉地「四万温泉(しまおんせん)」のことなんです。
現在も特急草津が停車している、吾妻線の「中之条駅」。ここが群馬県中之条町の中心部で、四万温泉の玄関口となる駅なんです。草津温泉と同じく、駅から温泉宿へはだいぶ離れているため、バスや車などへの乗り継ぎが必要ですし、「四万温泉号」などといった東京からの直行バスも運転されていますが、JRさんとしては「この列車で四万温泉にも行けるよ!」ということを主張したいのかもしれません。もしくは、四万温泉のほうから「列車名にしてほしい」という要望があったのかもしれませんね。
というわけで、ダイヤ改正後も現在の特急「草津」に相当する列車は運転されますし、高崎駅や新前橋駅に停車するならば、大回り乗車でも引き続き利用できます。よかった!
特急「スワローあかぎ」は「あかぎ」に統合される
続いて、平日の通勤客向けに高崎線内で運転されている、全車指定席の「スワローあかぎ」。土休日は「あかぎ」として、一部が自由席も有りで運転されていますが、こちらも、列車本数自体が大きく減るとかいう事はありません。では、「スワローあかぎ」は具体的にどうなるのか?
平日も「あかぎ」という名前に変わるというだけの話です!
ただ、プレスリリースによると平日あかぎのうち、上野18時発の本庄行きは鴻巣行きに、上野9:39到着の列車は高崎発から本庄発に、それぞれ運転区間が短縮されるようです。ちょっと残念。たぶん車両の回転率の関係のような気がします。鴻巣の次の停車駅は熊谷ですし、また高崎の方も、新幹線をご利用くださいってことなんでしょうか? でも新幹線の下り列車だと、寝過ごしが怖いですよね(^^;)
「草津・四万」「あかぎ」どちらも全車指定席になる
さて、列車のダイヤ自体にはそんなに大きな変化がないということは分かりましたが、ちょっと待ってください。ここからが大事です。
それは、平日も土休日も毎日、「草津・四万」も「あかぎ」も、どちらも全車指定席になり、自由席はなくなるということです。
「草津・四万」に乗る際は、あらかじめ指定席の特急券を必ず購入、または発券して乗らなければなりません。また、中之条駅や長野原草津口駅にはみどりの窓口が無く、指定席券売機しか無いため、特にこの2駅から乗る際は、あらかじめ予定を決めて、旅行出発前に帰りの特急券を用意(発券)しておかないと、当日発券できなくて乗り遅れる危険が出てきますので、注意したいものです。
そして「あかぎ」のほうは、新しい座席指定サービスを毎日利用可能ということですが、これは要するに、現在の「スワローあかぎ」の料金システムを毎日の新「あかぎ」に採用するということです。料金も「草津・四万」より安く、土休日も現在の「スワローあかぎ」と同一のものになるそうです。えきねっとチケットレスサービスが利用でき、座席未指定券でも乗れるというあれですね。
こうしてみると、土休日の旧「あかぎ」は料金システム的には「スワローあかぎ」に吸収されるようなものかもしれません。どうせなら「草津・四万」も同じシステムにして、チケットレスにも対応してくれたらなぁ……と思わなくもありません。でも、えきねっと限定のお得なチケットを発売予定という文面はありますね。乗車券とセットの割引商品だと思います。大回り乗車では使えなさそうですが……。
車両が651系から、E257系5500番台に変わる
もうひとつ大きな変化。2014年から今まで使用されてきた651系特急電車の、定期特急電車からの引退です。新しく使用開始されるのは、E257系車両の5500番台。新車ではなく、以前は千葉方面の特急「わかしお」「さざなみ」などで活躍していた車両です。9両編成の5000番台、5両編成の5500番台は、主に団体列車や臨時列車用に用意された車両です。「ホリデー快速鎌倉」号などで乗ったことのある方もいらっしゃることと思います。
これによって乗客の立場としてはどんな変化があるか。一番重要なのは、グリーン車付きの7両編成から、全車普通車の5両編成に車両数が減少することです。
全車指定席にはなるものの、指定席が増えるわけではなく、今まで「草津」「あかぎ」の自由席に乗っていた乗客や、グリーン車に乗っていた乗客も普通車指定席にやってくるということです。特に新しい「草津・四万」に乗りたい場合は、今まで以上に早めに予定を考えておき、指定席を予約しておくことが重要になりますね。
ただ、暗い話題ばかりではありません。窓側席ではコンセントが使用可能になるそうです(日によって、ついてない車両がくる場合もあるとのこと)。お古車両でもコンセントをつけてくれるなんて親切かもしれませんね。
引退する651系特急電車について
現在「草津」「スワローあかぎ」「あかぎ」に2014年から使われている651系特急電車は、この3列車からの撤退によって、いよいよJR線上、すべての定期列車の運用から引退となります。
かつて常磐線のスーパースターだった
JR東日本になって初めての新型特急電車として華々しく登場し、1989年3月11日から、常磐線の「スーパーひたち」として、最高時速130キロで上野~仙台間を駆け抜けてきました(130キロ出すのは上野~日立のみ)。当初は旧型の485系「ひたち」と共に、やがて485系のひたち撤退に際して後輩車両のE653系「フレッシュひたち」が仲間入りし、長らく常磐線特急列車の双璧をなしてきました。
常磐線を追われ、高崎線へやってきた
しかし、2012年のE657系特急電車デビューにより、やがて常磐線を追われることとなります。後輩車両のE653系も新潟地区の特急「いなほ」や「しらゆき」として再出発を果たしました。651系は震災被害や余剰で一部が廃車にはなりましたが、高崎線特急「草津」「スワローあかぎ」「あかぎ」として、窓下にオレンジラインを入れ、交流電気用の機器をカットする改造を受けて1000番台となり、2014年から再出発しました。
新しい指定席システム「スワローサービス」の先駆者
651系の高崎線デビューに伴って、JR東日本さんでは新しい全車指定席システム「スワローサービス」を開始し、「スワローあかぎ」号の普通車に適用開始しました。
スワローサービスとは、その列車を全車指定席とし、すべての席で座席指定を可能とする。乗る列車が決まっていない乗客に対しては「座席未指定券」を発行し、乗客のいない空席に座ってもらう。その席を座席指定した乗客がやってきたら席を譲る。特急券は乗車前に事前に買うものとし、車内で買った場合は通常の料金に加えて「車内料金」を徴収する、というものです。
高崎線のあとに全車指定席化された、常磐線特急「ひたち・ときわ」、中央本線特急「あずさ・かいじ・はちおうじ・おうめ・富士回遊」、東海道本線特急「踊り子・湘南」も、ほぼ同じシステムを採用。自由席を利用していた乗客にとっては値上げになってしまい複雑だとは思いますが、指定席に正しく座っていれば原則、検札を省略することや、車内料金の導入により車内での特急券発売業務を減らすことで、車掌さんの仕事内容削減と要員削減、人件費削減に大きく貢献しました。
国鉄の象徴だったつばめ(英語でスワロー)とか、「座ろう」に引っ掛けたと思われるネーミングで当時話題を呼んだ「スワローサービス」や「スワローあかぎ」も、今度のダイヤ改正で愛称としては消滅してしまうようです。ですが、JR最初の新型特急として旧国鉄からのイメージ脱却や常磐線のスピードアップに貢献したことや、JR東日本さんにとって抱える問題を解決してくれたスワローサービスの先駆者としても、651系はブルーリボン賞の名にふさわしい名車であるといえるでしょう。
1989年から2023年まで、34年間の長い活躍にも、いよいよピリオドが打たれます。歴史をつくった名車に乗るなら、今が最後のチャンスです。
あなたの記憶の中で、651系特急電車が永遠に走り続けますように。
東海道本線快速「アクティー」
続いては、普通車なら特別料金なしで乗車できる、東海道本線の快速列車「アクティー」についてです。東海道本線については、以下の記事で詳しく紹介していますので、まだの方はぜひお読みください。
JR東日本 横浜支社さんから発表されたプレスリリースを読んでみましょう。3ページ目に、東海道線 夜の通勤時間帯の運転体系の見直しをすると出ています。
https://www.jreast.co.jp/press/2022/yokohama/20221216_y01.pdf
すでに、1日わずか2本にまで減少していた
快速アクティーは、2022年12月現在、平日と土休日どちらも、東京駅始発小田原行きで19:48発と20:48発の2本が運転されるだけで、上り列車はすでに存在しないのですが、このうち19:48発は上野始発小田原行きの普通列車に変更、20:48発のほうは、列車自体運転取りやめになるそうです。大っぴらには書いていませんが、以上のことから、快速アクティーという列車の歴史にここでピリオドが打たれる形となることを意味します。
快速アクティーの通過駅は……わずか4駅
快速というくらいだから通過駅がいくつかあるだろうという方、もちろんそれは正解です。ですが、じゃあ一体普通列車と比べて通過駅がいくつあるかといえば……、2022年12月現在、辻堂、大磯、二宮、鴨宮、わずか4駅だけとなっていたのです。
その中でも辻堂駅は、近年再開発などで利用客が急増し、今や隣の茅ヶ崎駅よりも多くなっているそうです。特急「湘南」でも多くが停車する現状、通過する普通列車が存在することが実態に合わなくなってきている、といえるかもしれません。ほかの3駅については、平塚よりも先なので、平塚止まりの普通列車が多数ある現状としても、せっかくある貴重な列車を通過運転させても、わずかしか短縮できないようでは……という総合的な判断から、今回廃止に至ったのだと思われます。
昔はもっと輝いていた、快速アクティー
快速アクティーの運転開始は、JR東日本になった後の1989年3月11日だそうです。あれ!?奇しくも、先ほど紹介した651系と同じ日ですね!
当初は運転区間も東京~熱海間で、昼間を中心に1時間に1本ほど運転され、通過駅も今より多く、戸塚、辻堂、大磯、二宮、鴨宮、早川、根府川と7駅あったそうです。熱海までに7駅通過で、ほかの列車を追い抜いて走るとなれば、利用価値も大いにある列車だったことでしょうね。当時の東海道本線の車両である113系や211系に加え、オール2階建て近郊電車の215系も使用されていたそうです。
それが、小田原~熱海間の列車整理の代償なのか、2004年から早川と根府川にもすべて停車するようになり、その後2007年からは横須賀線との乗り継ぎが便利な戸塚にも停車となりました。この時点で通過駅4駅だけとなり、いつしか昼間の快速は湘南新宿ライン特別快速だけとなり、最終的には廃止された通勤快速の代わりとして、現在の夜に下り2本だけの体制となっていました。
辻堂駅の利用者急増もあり、駅を通過することによるメリットが薄くなっていった結果、いっそ自ら普通列車に化けてしまうこと自体が最大のサービスと判断されたのかもしれませんね。
大回り乗車で快速アクティーに乗るには?
快速アクティーの走る東海道本線は、茅ケ崎までなら大回り乗車の周回ルートに含まれているので、大回り乗車で乗車することもできないわけではありません……が、快速アクティーの運転が夜遅くになるため色々と注意が必要です。具体的には、以下のようなプランとなるでしょうか。
【平日】東京19:48発→(東海道本線3751M 快速アクティー小田原行き)→茅ケ崎20:41着20:56発→(相模線2079F 各停橋本行き)→橋本21:48着21:55発→(横浜線2149K 各停八王子行き)→八王子22:06着22:19発→(中央線2232T 中央特快東京行き)→神田23:09着
【土休日】東京19:48発→(東海道本線3751M 快速アクティー小田原行き)→茅ケ崎20:40着20:54発→(相模線2065F 各停橋本行き)→橋本21:48着22:02発→(横浜線2147K 各停八王子行き)→八王子22:13着22:20発→(中央線2262T 中央特快東京行き)→神田23:10着
このように、東京駅→神田駅での大回りアクティー乗車は可能なのですが、神田駅到着が23時を超えるため、皆さんの住んでいる場所によっては最終列車に間に合うかという問題が出てきます。また、快速アクティーの通過駅は平塚より先が中心なため、この大回り乗車では辻堂駅しか通過を味わえません。ですがそれでも、快速アクティーという表示や放送、案内類を記録するという意味では無意味ではありませんね。
大回り乗車のブログをやっていて何ですが、素直に小田原まで往復で乗車をしたほうが、記念という意味ではいいのかもしれません。
4駅を通過する快速列車は無くならない
さて、快速アクティーにお別れ乗車して、辻堂、大磯、二宮、鴨宮を通過するシーンを動画に収めておきたいな、と思っている方もいらっしゃることと思います。今しか出来ないことなので、是非そうしていただきたいのですが、一応知っておいて頂きたいことがあります。
それは、快速アクティーが無くなっても、同じE231系やE233系でその4駅を通過運転する営業列車がなくなるわけではない、という事です。
ダイヤ改正後も、昼間を中心に湘南新宿ラインの特別快速が小田原~高崎間で運転を継続するとみられるので、停車駅が変わらない限りは4駅を通過する列車は当分、存続という事になります。ただ、東京駅から発車でその4駅を通過、という快速列車は確かに無くなりますし、湘南新宿ラインの特別快速もそのうち、辻堂には停車しそうな気がしますので、決して動画などでの記録は無駄ではないとは思いますよ。
余談:快速アクティーは発車2分前に入線
これは快速アクティーの行き先表示などを撮って乗車したいという皆さんへのアドバイスなのですが、土休日の東京駅19:48発のアクティーの様子を見ていたところ、東京駅10番線を前の列車が発車するのが19:42ということもあり、快速アクティーの車両が入ってくるのは、なんと発車わずか2分前の19:46でした。しかも回送の表示でやってくるので、行き先表示を一通り撮ってから乗り込むとかなりギリギリです。なので是非とも乗り遅れには注意してください。行き先表示の撮影と、記念乗車を別の日にするという手もありますね。
まとめ:乗り納めはお早めに!
【お知らせ】現在、2023年3月17日を過ぎましたので、この記事で取り上げた各列車…651系特急電車や快速アクティーはすでに運転を終了しています。この記事の内容はすでに過去のものとなっていますので、ご注意下さい。
いかがだったでしょうか。
2014年から走り続けてきた特急「スワローあかぎ」、それよりもっと長い185系時代からの歴史を持つ特急「草津」、そして奇しくも、同じ1989年3月11日に走り始めた、651系特急電車と快速アクティー。これらの列車が今年2023年3月17日限りで消えていき、別の形で走り続けることになる、ということが分かって頂けたのではないかと思います。
快速アクティーの写真が無かったので、先日東京駅に赴いたのですが、すでにお名残乗車を楽しむ鉄道ファンの方を結構見かけましたので、皆さんも廃止直前にならないうちに、早めに各列車の記録をしておいたほうがいいのかな、と感じました。
ぜひ皆様も安全には気を付けて、「草津」「スワローあかぎ」「アクティー」の各列車を後悔しないように記録しておいてはいかがでしょうか。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。